三菱電線工業時報 第112号
三菱電線工業時報 第112号を掲載いたしました。
三菱電線工業時報 第112号(2025)
▼ 表題・要約 ▼
> 化学装置に適用する有機材料の熱劣化および腐食劣化とその評価
■ 著者:久保内 昌敏
有機材料は,耐食材料として化学装置に用いられている.
エポキシ樹脂に関する熱劣化と,酸・アルカリ環境下における腐食劣化挙動,およびその評価について解説する.
熱劣化においてArrheniusの関係によりマスターカーブが得られるとともに,質量変化,強度変化,化学構造変化の間に相関が得られる.
水溶液による腐食においても,劣化形態が表面反応型,腐食層形成型,あるいは全面浸入型と異なってもマスターカーブを構築することが可能である.
> ふっ素ゴムにおけるラジカル消耗速度のひずみ依存性
■ 著者:飛矢地 鴻太,家泉 直文,木挽 一彦,田窪 毅
半導体製造用ドライエッチング装置では,プロセス中に発生するラジカルガスがゴムなどのシール用素材と化学反応を起こして消耗させ,装着されているOリングの寿命を縮めてしまう問題がある.
本報文では,東京科学大学との共同研究により,シール部品に使用されるふっ素ゴムについてラジカルガス中の消耗速度とひずみの関係性について研究した結果を解説する.
短冊形試料を用いて単軸引張ひずみ下でのラジカル曝露試験を行うことで,ラジカル消耗速度に引張ひずみ依存性があることを見出し,ラジカル消耗速度と引張ひずみの関係を定式化することができた.
また,ラジカル源と試料との距離や,試料表面のクラックがラジカル消耗速度に影響を与えることも確認した.
本研究成果は,シール部品の寿命予測や交換周期の最適化に貢献することが期待される.